職にありつきたく中国語ができると嘘を

就職活動中、正直言うと就職したもの勝ちという考えがどこかにありました。とにかく働いてお金を得たかったために、就職後にどう困ろうが、就職することが先でした。就職後に自分の無能がばれても、そう安々と解雇はされないだろうと、たかをくくっていたのです。いじめられても、パワハラされても、とにかく職でお金を稼ぎたいという欲求を持っていました。

学歴も無く、資格も無かった私は飲食店の求人にたどり着きました。 飲食店従業員として働きたく面接に赴き、面接の方と対面し、面接を進めていましたがその際に、意外な質問をされたのです。 中国語はできますかと、聞かれたのです。

なぜ日本の飲食店で働くために中国語が求められるのかといいますと、その飲食店は中華屋だったのです。 オーナー、コックが中国人であり、他の従業員にも中国人が多数おります。 中国語については、少々学んでいましたが私はそれが逆効果となり、胸を張ってできますと、即答してしまったのです。 職にありつくために、少々話を盛ってしまったのです。 中国語ができるといっても、挨拶や、基本的な会話くらいであり、早口な中国語は聞き取れませんし、中国語で生活しろと言われても不可能です。 少し読めて、少し挨拶ができるくらい、中国に旅行に行ってもガイドが必要なレベルです。 後々に嘘がばれても、ごめんなさい、勢いで答えましたが少ししかできませんと、謝れば良いと思って即答してしまいました。 飲食店なのですから、語学が求められるとは思いもせず、誰でもできる仕事だろうと軽く見ていました。

面接後に採用され、仕事が始まったのですが中国人の従業員から中国語で話しかけられ、そこで中国語ができるという嘘がばれました。 ペラペラではないが、少々聞き取れるくらいだと言うと、周囲は許してくれたようでした。 中国語ができたらいいのにね、といった雰囲気でした。 中国語ができても無駄話にしか活用をしないだろうと、私は職場の雰囲気から察し、中国語を覚えることに乗り気ではありませんでした。

中国人従業員は少々日本語を学んでおり、片言ならばなんとか会話ができるレベルでしたので、私の中国語が完璧でなくとも意思疎通ができるために、中国語ができないという点はあまり重要視されませんでした。 しかし、やたら中国語を教えようとしてくる中国人先輩がおり、飲食店で働くだけなのに勉強もしなければならないなんてと、負担に感じられました。

飲食店従業員であり、事務的なやり取りはなく、中国人の客と会話する機会はなく、私はただコックから渡された料理を運ぶだけの役目でしたので、なぜ中国語を学ばなければならないのかと、少々嫌気がさしてしまいました。 暇な時に話しかけてきて、しつこく中国語を教えてくるのです。 完璧に発音ができるまで、繰り返し単語のリピートを要求してくるのです。 勉強の必要が無いのに、中国語を勉強してねと言ってきて、私にホームワークを強い、出勤すると私に発音させて中国語を学んでいるかどうか、確認してきます。 調べもせずに中国人だらけの職場に応募をしてしまった、中国語ができると嘘をついてしまった私も、浅はかだと反省しました。 面倒だなと思っていると、その中国人従業員がすぐに転勤になり、難を逃れました。

後日、会話で不便が生じることはなく、会話の行き違いによるミスもなく、中国語ができずとも職場でしのげました。 結局は低賃金で働くことが当たり前の中国人オーナーの方向に不満を感じて辞めましたが、異文化を知り、ためになりました。 必須資格などを嘘ついたのではなく、中国語ができたら優遇されるというだけでしたので、嘘をついても大したトラブルにならずに助かりました。